「文豪・太宰治も愛した」と言われる三鷹の名所【跨線橋】画像

三鷹の名所「跨線橋」の夕日

東京は三鷹に、文豪の太宰治も愛したという名所があります。

『走れメロス』や『人間失格』『斜陽』などの名著を文学界に残した太宰治は、30歳ごろの約10年間を三鷹で過ごしました。

このことから、三鷹には太宰治のゆかりの地として知られています。

跨線橋(こせんきょう)は、太宰が気に入っていた場所だと言われています。友人をここに案内したという話もあるくらい。

今回は、太宰が愛したそんな景色を味わいに行ってきました。

跨線橋(こせんきょう)は三鷹駅のすぐそばにあります

三鷹駅から西へ歩いてすぐのところです。

昭和4年に建設された無骨な佇まい

跨線橋(こせんきょう)とは、複数の線路を跨ぐ陸上の橋のこと。

昭和初期に作られ、今もその風貌のままそこにあります。鉄骨がむき出しになり、ところどころにサビがある見た目。スマートなものが溢れる現代においては、その素っ気なさに惹かれる人も多いかもしれません。

東京の真ん中を突っ切る中央線と総武線が通る三鷹駅は、ひっきりなしに電車が行き交います。線路の本数は9本以上。踏切を設けることはできず、線路の向こう側に渡る地元の人の連絡通路として、跨線橋が建設されました。

現在は地下道があるので、そちらが頻繁に使われています。自転車の人は特にスロープで繋がっている地下道を利用します。

跨線橋を利用する人は減ってしまったものの、取り壊されることなく今もその姿を残しています。

階段を登った後に目にする、夕暮れの景色

跨線橋の階段を登ると、向こう側へと続くトンネルのよう。錆びついた鉄骨がノスタルジックな雰囲気をかもし出します。

フェンス越しにみる線路と、電車。

向こう側には武蔵野の街が見えます。高層ビルが立ち並ぶ都市と何世代も前から私たちの交通を支えてきた延々と続く線路。この1つの絵に、近代と現代の景色を同時に見ることができます。

こちらは三鷹駅方面。多数の線路が集約されていき、三鷹駅のホームへと続いていきます。緻密に計算されたダイヤグラムに基づき、スピードを調整しながら行き交う電車はずっと見ても飽きません。

ちょうど夕暮れの時間帯だったので、線路の奥に沈む太陽を見ることができました。曇り空も鮮明なオレンジ色に照らされています。ほうっと見惚れるほどの美しさです。

綺麗ですよね。

いつの時代も夕日の美しさは変わらない

この景色を見たときに、ヴィクトール・フランクの『夜と霧』を思い出しました。

強制収容所で、死と隣り合わせの日々を生き抜いた精神科医の体験を綴った本です。

収容所に送られて、毎日ロクに着るものも用意されず死人が出るほどの強制労働をさせられていたヴィクトールは、ある日いつものように線路を作る仕事へと向かいます。過酷な作業のなかで、ふと顔をあげるとそこには地平線の上に浮かぶ炎のような太陽とそれに照らされグラデーションを描く空が広がっていました。

世界はなんて美しいのだろうと、そのときヴィクトールは感じたと言います。

絶望の最中にありながら、世界の美しさを感じられる心が自分にはまだあったのかと、歓喜するという一節です。

そして、どんな環境にあっても自分の心は自分だけのものだと気づいたと言います。

強制労働をさせられる最中にありながら、どんな環境においても何をどう感じるのかは自分が決めていいことなのだと彼は悟りました。そして生きる希望になったそうです。

太宰がこの夕日を見て何を感じたのかは、私たちにはわからないですが、きっと数十年前も変わらず美しい景色が太宰の目に映っていたことでしょう。

跨線橋から見える夕日を、いつかあなたもその目で見てみてくださいね。

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