今は安定した収入があったとしてもこの先どうなるかは分かりませんよね。
コロナ禍ということもあり、 将来に備えておきたいと思う方は多いと思います。生活防衛資金はそんな不測の事態に備えるためのお金です。
ではこの生活防衛資金、一体いくらあればいいのでしょうか?
この点についてどうも様々な意見があるようなので、それぞれの主張をまとめてみたいと思います。
生活防衛資金とは?
そもそも生活防衛資金とは何なのでしょうか?
これは投資家たちの間でよく使われる用語で、保有資産のうち投資に回さない現金のことです。
自分の余力のうちいくら投資に回すのか?と考えたときに、手元に残しておくべき現金のことを表します。無リスク資産と言い換えることもできるでしょう。
つまり、現金、普通預金、定期預金のことを指します。
生活防衛資金という言葉の由来は?
まずは生活防衛資金の定義を共有しておきましょう。そもそもこの言葉は誰が発祥なのでしょうか?
経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元さんの言葉をお借りします。
筆者の記憶では、「生活防衛資金」という言葉を最初に紹介したのは、かつて日本振興銀行を創業された木村剛氏だったように思う。『投資戦略の発想法』という当時よく売れた著書に書かれていた。
同書は、生活費の2年分のお金を別途マネー・マーケット・ファンド(MMF)などの安全な形で確保しておくと、富裕層の顧客は資金の運用について冷静に考えることができるようになると述べていた。なるほど、そういうものなのかもしれない。
生活防衛資金という言葉の発祥は、どうやら「投資戦略の発想法」という本のようです。初版の発行は2009年。今から約10年前にはあった言葉ということになります。
投資をする上での戦略として使われていた言葉だと思いますが、現在は投資の経験が無い方の間にも広まっているように思います。
ただ押さえておくべきところとしては、 生活防衛資金とはあくまでも自分の保有資産のうちどの程度を投資に回すべきかという考え方に基づいているということですね。
いわゆるキャッシュポジション戦略ということで認識してもらうといいと思います。
結局いくら必要なの?2つの考え方
生活防衛資金についての考えをざっと調査してみたところ、
- 3ヶ月
- 半年〜1年
という2つのパターンがあることがわかりました。それぞれ詳しく見ていきましょう。
3ヶ月分
まずは3ヶ月で十分という考え方についてです。それぞれ引用します。
半年から1年、さらには2年という意見がある中で、少なめの3カ月でいいと筆者が考えている理由は、投資信託や上場株式等の投資は部分売却が可能で、数日で換金できるからだ。予定外の大きな支出が必要になった場合はちゅうちょなく投資を部分的に解約するといい。お金は使うためにある。
収入と支出のバランスを見極めて生活防衛資金を決めていくと良いですよ。働きながらならば3か月から半年程度が生活防衛資金として目安になるかと思います。人によりますけどね。
3ヶ月分で OK と主張されている方は、著名な経済評論家や投資家です。先程お伝えしたように、生活防衛資金というのはあくまで投資戦略の中でのキャッシュポジションをどうするのかという話です。
資産形成されている方は万が一手元の 現金が底をついたとしても、資産運用で回している資金を取り崩せば OK ということですね。裏を返せばそれほど潤沢な資金があるということです。
部分的に解約したり売却したりすれば現金が手に入るので生活防衛資金は3ヶ月もあれば十分というロジックです。
半年から1年分
次に半年から1年分と主張されている方について引用してみます。
こちらは生活防衛資金についてのアンケート調査の結果です。 日本全国の既婚者を対象に行われました。 回答数は100サンプルです。
【質問】
病気や怪我、失業など不測の事態に備えて貯めておく「生活防衛資金」
給与の何ヶ月分があれば安心できると思いますか?(世帯収入でお考え下さい)
【回答数】
1ヶ月程:0
3ヶ月程:13
半年程:39
1年程:34
それ以上:14
こちらを見ると、 生活防衛資金は半年または1年程度あると安心できると答えている人が過半数にのぼることがわかります。
投資の知識があり、資産運用を積極的に行っている人は別として、一般的には半年または1年分の貯金があると安心できる人が多数を占めているということです。
またファイナンシャルプランナーの方の意見もあります。
3か月分ではやや心許なく、6か月分あればまだ余力を保てているという具合でしょうか。
これは社会のセーフティネットで守られている正規雇用者の場合です。
一方、緊急事態宣言とともに「今日はもう帰って。明日から仕事はありません」と言われて職を無くしたアルバイトや業務委託の個人事業主は、3か月分ではまったく足りませんね。
この方の場合、3ヶ月では心もとない。6ヶ月あればなんとか持ち直せるかもしれないけれど、 個人事業主やアルバイトの場合もう少し多めに蓄えておいた方が良いのではないか、という考え方でした。
私自身フリーランスとしてお仕事させていただいていますが、この考えには同感です。不況の波にさらわれたら、立て直すのに1年くらいはかかりそうだなと考えています。
まとめると…
生活防衛資金についての意見をまとめてみます。
資産運用に関してある程度知識がある人、 もしくは既に資産形成をされている人は、 生活防衛資金は3カ月程度で十分。
一方で、収入が不安定であったり、まだ投資について知識がない方は、半年から1年程度の生活防衛資金を持っておくと安心と言えます。
未知のウイルスの感染拡大という未曾有の危機を経験した私たちにとって、将来の不安を少しでも拭うことができるのが生活防衛資金の役割です。ある意味では精神安定剤であると言えるかもしれません。
どの程度のリスクを許容できるのかは人によって全く異なりますので、私個人としては以下のステップをおすすめします。
- まずは3ヶ月分の生活防衛資金を貯める
- 3ヶ月分貯まったら少しずつ投資
- 6ヶ月分貯まったら投資する割合を増やす
このようにして徐々に投資に慣れていくのがいいのかなと思います。
我が家の場合
我が家の場合、生活防衛資金は約1年分取ってあります。生活防衛資金以外はインデックスで積み立てをしており、後は夫婦それぞれがハイリスクな個別株投資を行っているという状態です。
家計の貯蓄をローリスクで運用しているので、お互いが自分の資産をアクティブに運用できているとも言えます。
ちょっと特殊な事例かと思いますが、こういうやり方もあるのかと参考にしてもらえたらと思います。
それでは今回も最後までご覧頂きありがとうございました。この記事がどなたかのお役に立てば嬉しいです。