無形資産に投資する時代?2021年以降、判断基準が変わる

無形資産という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

無形資産とは不動産や工業設備、建物などの有形資産との対比で使われる言葉で、無形、つまり形として残らない、見えない資産のことです。財務諸表にのらない資産とも言えるかもしれません。

これまでは企業の価値や安定性を判断するときには有形資産が使われていました。しかし、近年その流れがガラリと変わりつつあります。

今回は、そんな無形資産についてNHKの特別企画「欲望の資本主義2021」を参考にしながらご紹介したいと思います。ぜひご覧ください。

NHK「欲望の資本主義2021」より

先日NHKの「欲望の資本主義2021 『格差拡大 社会の深部に亀裂が走る時』」という番組を見ました。BS1の新春特別企画として毎年行なっている番組のようです。今回初めて拝聴したのですが、非常に面白かったです。

公式サイトから番組概要をご紹介します。

やめられない、止まらない、欲望が欲望を生む、欲望の資本主義。コロナが拡大させる格差。問題の本質は?出口は?BS1新春恒例の異色教養ドキュメント。

世界で進む格差の拡大、固定化。その潮流が今日本を飲みこむ?低所得世帯の割合が上昇、中間階級は消滅するとの予測もある。中間層の喪失がもたらす社会の混乱は?脱工業化へと変わった、富を生むルール。私たちはどこで間違えたのか?経済の葛藤が、社会不安を引き起こす。今、何が起きているのか?資本主義の変質を捉え、社会構造の問題を解剖する。不透明な世界情勢の中、世界の知性とともに、社会の閉塞感を解く旅が始まる。

引用:欲望の資本主義2021 「格差拡大 社会の深部に亀裂が走る時」

前半と後半合わせて約4時間程度だったかと思います。その中で興味を惹かれたのが、「脱工業化へと変わった、富を生むルール」の部分です。番組の中だと「第七章 資本なき資本主義の誕生」。

今回はここで語られた、無形資産についての話を抜粋してご紹介します。

某証券会社アナリストの会話

第7章は、まず某証券会社の会議室が映し出され、そこで数人のアナリストたちが会話をしているシーンで始まります。

アナリストA「バランスシートを見てびっくりしたんだけど、(この会社の)格付けがA格で有形資本がないんだよ」

アナリストB「格付けも、今そこにあるキャッシュの資本よりも、本来の稼ぐ力、(つまり)無形資産をより重視するようになってるので、ある種見方としては正しいですよね」

アナリストC「なぜ設備に投資されないかというと、富を稼ぐ資産が有形から無形に移っているんですよ」

補足すると、格付けとは企業の安定性や信用力を、民間の格付け会社が分析しランキングにしたものです。投資家が投資する際の一つの判断材料となります。CからトリプルAまでのアルファベットで表されることが多く、A格は格付けが高いことを意味します。

この会話からわかることは、これまでは有形資本の有無が格付けを押し上げる重要な要因となっていたが、最近ではその傾向が薄れている。富を稼ぎ出すものが、有形から無形に移り変わり、設備投資よりも無形資産の構築がより重視されている。ということです。

経済学者 ジョナサン・ハスケルによると

さらに、経済学者ジョナサン・ハスケルという方が登場し、インタビュアーの質問に答える場面が映ります。そこでこの方は以下のように話していました。

資本家の富を生み出す資源が変化してきている

保有する資産そのものが変わってきている

Google、フェイスブックの競争優位性は彼らの持つ知識、評判、関係資産などの無形資産に支えられている

先進国、途上国に関わらず無形資産に投資されている

2021年現在の時価総額ランキングのトップは、アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット(Google)、フェイスブックなど、GAFAMと呼ばれる企業で占められています。

これらの企業は世界中に不動産を持っている訳ではないにも関わらず、上位を占め、さらにその勢いは増しています。世界中から投資が集中する理由とは何なのでしょうか?

ジョナサン・ハスケルはこの理由を、知識や評判、関係資産などの無形資産があるからだとしました。ここでいう無形資産とは、AI技術や知識、最先端医療技術、ロボット開発、自動運転などの先進的な技術、フェイスブックが持つような世界中に張り巡らせたコミュニケーションネットワークなどのことです。

今は、有形資産に投資するよりも、無形資産に投資した方がリターンが見込める。このように考えている投資家が多いからこそ、GAFAMは今の時価総額ランキングに名を連ねているということです。

無形資産に投資する時代?

お金持ち本として大ベストセラーとなったロバート・キヨサキによる「金持ち父さん貧乏父さん」は皆さんもきっと読んだことがあると思います。ポケットからお金が出ていくものは負債、ポケットにお金が入るものは資産、というわかりやすい考え方やマイホームやマイカーを負債と位置付ける考え方など、大きなインパクトがありましたよね。

そんなロバート・キヨサキが口酸っぱく言い続けたのが、「不動産を買え」というメッセージです。ロバート・キヨサキが不動産を買った1970年代のアメリカは、不動産は富を生みだす有力な資産でした。しかし、これまで見てきたように今のトップ投資家層は不動産のような有形資産に重きを置いていません。2021年現在は流れが劇的に変わろうとしています。

ロバート・キヨサキが伝えたかったのは、不動産=つまり富を生みだす資産を買いなさいということです。ならば、今の時代に富を生みだす資産とは一体何か、現代の不動産とは何か?という点を私たちは考えるべきなのだと思います。

自分たちが投資しようとしている対象は、有形資産か?それとも無形資産か?または、無形資産に投資するにはどうすればいいのか?を考える段階にある気がします。

まとめ

ここまでをまとめます。

  • 証券アナリストや経済学者によると、現在は無形資産を重視する流れになっている
  • 無形資産とは評判やネットワーク、技術など
  • 企業や投資家は有形資産よりも無形資産に投資している

おそらく、これからは有形資産ではなく無形資産に投資する時代に突入するはずです。有形資産である不動産や工場設備よりも、無形資産の方が富を生みだす資本としての役割が大きいと考えられているからです。

現在の時価総額ランキングのトップを占めるのが無形資産に強い企業ということからも、企業の格付けが変わってきていることからも、この流れは加速するように思えます。今一度投資する際の判断材料にしたいものですね。

それでは今回も最後までご覧いただきありがとうございました。この記事がどなたかの役にたてば嬉しいです。