非線形性と限界効用逓減の法則。お金と幸福度との関係について

皆さんは幸福学という学問があることをご存知でしょうか?恥ずかしながら私自身は最近知ったのですが、とても興味深い学問です。

幸福学の第一任者として知られている前野隆司さんという方の書籍「年収が増えれば増えるほど幸せになれますか?お金と幸せの話」を読んでみて、 これは皆さんにご紹介したいなと思ったので、今回まとめてみたいと思います。

学問と言うと少しとっつきづらいイメージがあるかもしれませんが、 非常に読みやすい本だったので、もし面白いなと思ってもらえたら本書を手にとっていただきたいと思います。それでは早速内容に入っていきましょう。 

お金と幸福についての研究、幸福学と著者について

今回参考にする書籍は前野隆司さんが書かれた「 年収が増えれば増えるほど幸せになれますか?お金と幸せの話」です。

前野さんは東京工業大学工学部機械工学科でもともと機械工学を専門に研究されていたそうですが、現在は幸福学という学問を広めるために様々な活動をされています。

今回ご紹介する書籍は2020年出版なので比較的新しいですね。他にも多くの書籍を出されてますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

今回の本は、 お金と幸せの関係を解説したものになります。 タイトルの通り、お金が増えれば増えるほど私達は幸せになることができるのかという問いに答えています。

先に本書の結論を言ってしまうと、 お金が増えれば増えるほど私たちはが幸せになるわけではありません。これはすでに様々な科学研究から明らかになっていることです。

ではなぜ、 そのように結論づけることができるのでしょうか。これを解説するためには、非線形性と限界効用逓減(げんかいこうようていげん)の法則について知る必要があります。この2つは知っておいて損はない言葉だと思うのでそれぞれ詳しく紹介しますね。

非線形性

ある値を縦軸と横軸で示したとき、横軸が増えれば増えるほど縦軸も増えていく。もし仮にこういう状態があったとき、それをグラフに表すと線は直線となります。これを線形性と言います。

これに対し非線形性とは、 直線ではなく緩やかなカーブを描くように上昇します。 線形というのは、直線を意味しますから、非線形性とは直線ではないという意味になります。

引用:年収が増えれば増えるほど、幸せになれますか?お金と幸せの話

ちょっとわかりづらいですよね。例を用いて解説します。

例えばここに1000円のワインと10万円のワイン、100万円のワインの3本があるとします。ワインの値段を横軸、あなたの満足度の縦軸で表します。

もしあなたの満足度が直線的であれば、 ワインの値段が高くなればなるほどあなたの満足度は高くなるはずですよね。しかし実際にはそうはなりません。

1000円のワインの満足度と10万円のワインの満足度はかなり差があると考えられますが、一方で10万円のワインと100万円のワインを飲んだときの満足度にはそこまで差はないでしょう。ソムリエのようなその道のプロでない限り、 一般的な感覚としてワインの微妙な味の差は捉えにくいものです。美味しいということは分かるでしょうが、 それが10万円の美味しさなのか100万円のワインの味はなかなか区別がつかないと思います。

だからこそ、 ワインの値段を当てるようなテレビ番組がお茶の間を沸かすのでしょう。誰にだって当てられるような簡単なクイズであればハラハラドキドキしないものです。

このように、人の心というのは非線形性になっており、直線的な線を描くのではなく、 緩やかなカーブを描くようになっています。

この人間心理を解明した、プリンストン大学名誉教授のダニエル・カーネマンはノーベル経済学賞を受賞したそうです。

限界効用逓減の法則

もう一つ知っておきたいキーワードに、限界効用逓減の法則というものがあります。 これの説明はちょっと難しいのですが、ものすごく簡単に言うと、どんなに刺激的なものだったとしても人はだんだんその状況に慣れて飽きてしまうということを言い表した言葉です。

例えば、あなたはタワーマンションの最上階に住みたいという強い願望を持っていたとしましょう。そして、その願望が叶う日がやってきました。入居した当日、タワーマンションの全面ガラス張りの窓から見ると海の夕日を見たとき、自分は何て幸せなんだろうと幸福感を噛みしめるかもしれません。

しかし、あなたの満足度のピークは入居したその当日を境に、どんどん減っていきます。(そのモノによる効用が逓減していく状態です。)

その幸福感は長くは続かず、翌日、さらに翌日、さらにその翌日と、同じ景色を見るたびにだんだんと慣れていきます。当日感じたような感動的な満足感は最初の瞬間を超えることはない。これが限界効用逓減の法則です。

このように何らかのモノに対する満足感というのは持続時間が短いという特徴があります。

先ほどのタワーマンションの例で言うと、 入居した最初のうちはきっとものすごく満足した気分に浸れるはずです。 そして日が経つと今度は自分のタワーマンションよりもっと高いタワーマンションがあることに気がつきます。あなたはこう思います。このマンションに引っ越した当日のような満足感をもう一度味わいたい、と。そしてこんな風に呟くかもしれません。「ここの眺めの良いけれどあのマンションの眺めはもっと良さそうだな」

このように、モノから得られる満足感を指標にすると、人は際限なくより強い満足感を追求するようになっていきます。

著者はこの状態をドラッグの依存症のようなものだと例えていました。幸せについて考えたとき、満足感というのは非常に重要な指標にはなりますが、 それ自体で幸せになれるわけではないということです。

モノの満足度は一瞬、経験の満足度は一生

ここまで心の非線形性と限界効用逓減の法則についてご紹介しました。 見てきたように、人間の心の動きというものはある程度科学的に解明されています。

では、じゃあこれらの知識をどのように日常生活に取り入れることができるのかという点に移りましょう。

この二つのキーワードが示すことは、 モノから得られる満足度は一瞬ということです。満足感はドーパミンという快楽を感じるホルモンに影響しますが、そのために私たちはより強い刺激を求め続けることになります。

そこで、モノではないところに幸せを見出すことが必要になってきます。モノではないもの、つまり経験です。

こちらも研究によって明らかになっているそうなのですが、人はモノの消費よりコトの消費の方が幸福度が高いそうです。

例えばテレビや服などの物質的な消費をするよりも、コンサートや旅行などの体験的な消費の方が幸福感に強く影響しているのだそうです。

端的に言うと、旅をしたり自己研鑽に励んだり人との交流をしたりといった体験にお金を使った方が人は幸せになれるということです。

コスパではなくハピパを考えよう

先ほどご紹介した二つのキーワード、心の非線形性と限界効用逓減の法則を考えればモノの消費によっていっときの満足は得られるだろうけれども、それによって幸福になれるかと言えばそうとは言えない、となります。

ちょっとごちゃごちゃしてきましたね。 つまり何が言いたいかというと、自分が本当に満足する経験とは何か、という問いに向き合うことが大事で、その経験により幸福感を増すことができるということです。

著者は本の中で「コスパではなく、ハピパで考えよう」と言っていました。ハピパ、つまりハッピーパフォーマンスですね。なんだかこの考え方、すごく面白くないでしょうか。

「これを買うことによって、私はハッピーになれるだろうか?」という視点で日常を過ごしたらとても楽しそうです。

まとめ

では、今回ご紹介したことをまとめたいと思います。

  • 人の心の動きは非線形性である
  • 限界効用逓減の法則がある
  • モノの消費より経験の方が満足度が高い
  • コスパではなくハピパを追求しよう

一つ注意点としては、モノを買うことによって何か経験を得られるのであればそれは幸福感につながります。モノを購入することのすべてを否定しているわけではないので、その点ご理解いただけたらと思います。

幸福学というあまり聞きなれない学問の本ではあったんですけど、 すごく読みやすくて、日常生活にも取り入れやすい内容だったかなと思います。

最後に本のリンクを貼っておくので、気になった方はもしよければ詳細を見てみてください。

それで今回も最後までご覧頂きありがとうございました。この記事がどなたかの役に立てば嬉しいです。