科学革命と資本主義と禅。なぜ今禅が注目されるのか?

禅という思想をご存知でしょうか?おそらく、名前は聞いたことがあるけど、詳細はよくわからないという方が多いのではないかと思います。

世界的にはキリスト教やイスラム教などの一神教が広く普及していますが、 実は禅は一部のエリート層から強く支持されています。

特に近年ますますその傾向が強まっており、 世界中の人々が西洋思想ではなく東洋思想である禅に興味を向けています。

では、なぜ今禅が注目されるのでしょうか?

今回は、オリラジあっちゃんの YouTube 動画やユヴァル・ノア・ハラリの著書「サピエンス全史」や「21Lessons」を参考にしながら考察していきたいと思います。よければお付き合いください。 

なぜ今、禅なのか?

近年世界中のエリートたちが禅に興味を抱いています。例えば、 Apple の創業者であるスティーブ・ジョブズやドキュメンタリー映画で知られるマイケル・ムーア監督などが多大な影響を受けたと言われています。

また、サピエンス全史やホモデウスでベストセラー作家となったユダヤ人歴史家のユヴァル・ノア・ハラリも禅に傾倒しています。

また、私自身の経験としても大学時代の教授で元某有名企業の副社長を務めた方が禅の思想を信仰していた記憶があります。

このように、世界のリーダーがこぞって注目しているのが禅なのです。西洋思想や哲学にも魅力的なものはたくさんあると思うのですが、なぜ今これだけ禅が注目されているのでしょうか?考察していきます。 

オリラジあっちゃんのYou Tube大学より

お笑いで有名なオリエンタルラジオの中田敦彦さんが YouTube 動画を多数アップされていて、歴史からビジネスから文学から、あらゆる分野の書籍をわかりやすく紹介してくれています。非常に面白いのでもしよければ見てみてください。

そんな YouTube 大学で、禅の思想について解説した動画が上がっていたので今回はそちらを参考にしています。全部で3回のシリーズとなっています。もしよければ見てみてください。

一神教の特性

動画の中で、 禅という宗教がどのように日本に入ってきてどのように広まっていったのかが解説されています。興味深かったのが鎌倉時代の新六大宗教です。

歴史の授業を振り返るつもりで聞いていただきたいんですが、鎌倉時代に主流となっていた宗教がありました。

  • 浄土宗
  • 浄土真宗
  • 時宗
  • 日蓮宗
  • 臨済宗
  • 曹洞宗

このうち禅の思想から派生した宗教が、臨済宗と曹洞宗です。

鎌倉時代に起こった6つの宗教のうち、浄土宗、浄土真宗、時宗、日蓮宗は、それぞれ宗教同士で争うようになりました。

オリラジのあっちゃんの説明によると、 宗教同士での争いが起こった原因はこれらの宗教が一神教の性質を持つからだということでした。一神教とは、この世界で唯一の神を崇めよ、という宗教です。世界で唯一の素晴らしい神が、この世に複数あるのは矛盾するため、互いの宗派を牽制し合うようになります。そして争いへと発展してしまいます。

これまでの歴史を見ても、キリスト教やイスラム教などの一神教は争いが絶えません。これは一神教の性質とも言えます。

一方で、禅の思想である臨済宗と曹洞宗はそういった争いが起こりませんでした。

その理由は、禅の思想というのが 唯一神を崇める一神教の宗教とはまるで異なった性質を持っているからだそうです。

禅とは、唯一神を崇めるものではなく、ひたすら自分自身へ問いかけるものです。

異なる宗派の人々が争う中で、禅の思想だけは唯一自分との対話を大切にしていました。だから争いは起こらず、どんな時代においても人々に受け入れられていたそうなんです。そして弾圧されることも、途絶えることもなく、現代へと続いていきます。

禅は自問自答と瞑想

禅の特性は、他の宗教と争わないところにあります。ユヴァル・ノア・ハラリによると、これは無神論やアニミズム(世界中のあらゆるモノには神が宿るという思想)に近い性質だそうです。

禅は、自分への問いです。禅問答という言葉はこういった、答えのない問いを自己に投げかけ続けることが由来だそうです。

常に自分自身に問うことで、自分なりの思想や考え方を醸成していくのが禅のメソッドです。これまでの歴史を通して乱世を生きてきたエリートたちに禅が受け入れられてきた理由はこのメソッドにあるのではないかと、オリラジのあっちゃんは解説していました。

近年、科学革命により宗教にずれが生じる

サピエンス全史によると、 これまでのヒト(ホモサピエンス)は宗教という虚構を信じることで集団を形成し、一人では成し得ないようなことをやり遂げ、繁栄してきました。宗教というのは人々を結びつける強力な媒体だったのです。

しかし科学革命がその宗教の根幹を揺るがすようになりました。 2021年現在において世界中の多くの人が信じているのはおそらく科学です。

私たちは神が天地を創造したというのはキリスト教のストーリーだと認識していますし、人は神によって作られたのではなく自然淘汰により生き残ってきたものの子孫であることを知っています。病気になったら、魔術師の元ではなく、医者を訪れます。私たちの根底にある認識は科学なのです。

今後の資本主義の限界

しかし、科学では補えないことも多分にあります。そこで、資本主義が台頭します。実際、今や宗教と肩を並べるほどの思想となりました。

人々が自己の利益を追求することで、社会的な利益をもたらすというアダム・スミスの資本主義理論に基づいて、私たちは市場を拡大してきました。資本主義は世界に恩恵をもたらしましたが、ひずみも生みました。

多くの人が、お金があれば幸せになれるというのは本当だろうか?成功とは何なのか? 富や名声を得た後私たちはどこに行けばいいのか? 格差拡大に歯止めはかかるのか?環境破壊にはどう対処するのか?といった疑問や難題にぶつかっているからです。資本主義には限界があるとユヴァル・ノア・ハラリは言います。

これからの時代に人が頼るもの

では、私たちは何を信じて生きていけば良いのでしょうか?

この点について、ユヴァル・ノア・ハラリは21Lessonsという書籍の中で、人々が頼るべきものは自分であると結論づけています。

そして自分を知るための手法としてヴィパッサナー瞑想を提唱しています。このヴィパッサナー瞑想こそが禅の思想に由来するものなのです。

今の私たちは非常に変化の激しい時代に生きていて、 ある意味で革命期、変革期、もしくは大きなパラダイムシフトが起こる時代、などと換言できるかもしれません。

そんな時代を生きる世界のトップ層が心の拠り所にしているのが瞑想というのは少し意外だったのではないでしょうか。私自身は正直まだピンときていませんが、もっと禅について勉強すれば理解できるのかなと思っています。

まとめ

ここまでをまとめます。禅の特性は以下の通りでした。

  • 禅の思想は無神論やアニミズムの思想に近い
  • 禅は他の宗教と争わず、歴代のエリート層に受け入れられてきた

そして、近年の世界の大まかな潮流と禅の関係がこちらです。

  • 近年、科学革命により一神教などの宗教にひずみが生じている
  • そして資本主義にも限界がある
  • 変化の激しい時代は禅の瞑想が推奨される

非常に変化が激しい今の時代、 それまでは常識だったものが常識ではなくなり、 非常識と考えられていたことが常識となっていくということが往々にして考えられます。

これまでの一神教が通用せず、科学では人々の信仰をカバーできず、資本主義には限界がある。そんな未来において、迷える人々の寄る辺となるのは、もしかしたら禅なのかもしれません。

それでは今回もご覧頂きありがとうございました。この記事がどなたかの役に立てば嬉しいです。

参考にした書籍の紹介

どちらもユダヤ人歴史学者であるユヴァル・ノア・ハラリによる著書です。サピエンス全史は人類の歴史を総まとめにしたもので、21Lessonsは現代から未来の生き方に焦点を当てたものとなっています。