アッパーマス層と持ち家の関係を解説。NRIの定義と不動産を含めない理由とは

皆さんは富裕層の定義について聞いたことがあるでしょうか?

おそらくこちらをご覧の方であれば、 富裕層という言葉以外にも、準富裕層やアッパーマス層、マス層といった区分を聞いたことがあると思います。

ただ、このアッパーマス層の定義や詳しい解釈は少しわかりづらいですよね。持ち家は資産じゃないの?カウントするのは金融資産だけ?など疑問も多いのではないでしょうか。

今回はアッパーマス層と持ち家の関係について詳しく解説します。自分たちはアッパーマス層に該当するのか気になっている方はもしよければご覧ください。

野村総合研究所(NRI)の富裕層の定義

まずは野村総合研究所(NRI)の富裕層の定義について共有しておきたいと思います。

野村総合研究所では富裕層の 総世帯を五つの階層に区分しています。その際用いているのが純金融資産保有額という指標です。 

この純金融資産保有額というのはどのように計算されるかと言うと、

預貯金、 株式、債券、投資信託、一時払い生命保険、年金保険など、 世帯として保有する金融資産の総合計額から負債を差し引いた額

参考:野村総合研究所ニュースリリース

とされています。 

ポイントは

  • 金融資産しかカウントしないこと(つまり不動産の価値はノーカウント)
  • 世帯としてカウントすること
  • 金融資産から負債を差し引くこと

この3点です。

個人の資産ではなく、世帯の資産としてカウントされているんですね。夫が1500万円あり、妻も1500万円ある家庭はアッパーマス層ということになります。

そして5つの階層はこのように分かれています。

  • 超富裕層:5億円以上
  • 富裕層:1億円以上、5億円未満
  • 純富裕層:5000万円以上、1億円未満
  • アッパーマス層:3000万円以上、5000万円未満
  • マス層:3000万円未満

引用:野村総合研究所ニュースリリース

この区分がいいか悪いかは別として野村総合研究所ではこのような定義にしているということですね。

なぜこのような定義になっているのかについては後半で考察したいと思うので気になる方はそちらを先にご覧ください。

保有資産と持ち家の関係は?パターン別に解説

それでは、金融資産3000万をもつアッパーマス層について詳細を見ていきましょう。

ここでは金融資産が3000万円ある世帯を想定して、持ち家がある場合、ない場合、売却した場合などに分けてパターン別に解説していきます。

※話をわかりやすくするために家のローン以外に負債はなしとします。

自分と似ているパターンがあれば参考にされてみてください。

1:金融資産3000万円、賃貸の人(負債なし)

まずは金融資産が3000万円あり、持ち家がない人の場合です。この家庭はずっと賃貸に住んでおり、負債がありません。そうすると、この場合の純金融資産保有額はそのまま3000万円となります。

よって、この世帯はアッパーマス層に位置付けられます。 

2:金融資産3000万円、3000万円で購入した持ち家(残ローン2000万円)がある

 次に金融資産が3000万円あり、持ち家がある場合です。持ち家は3000万円で購入し、 ローン残債が2000万円ある場合を想定します。

この場合、金融資産は3000万円ですが負債が2000万円あるので純金融資産保有額は1000万円としてカウントされます。

例え保有している不動産の価値が3000万円だったとしても、ここでは不動産の価値はノーカウントです。そのためこの世帯はマス層に位置付けられます。

3:金融資産3000万円、3000万円で購入した持ち家を4000万円で売却

では次に金融資産が3000万円あり、3000万円で購入した持ち家を4000万円で売却した場合を考えてみましょう。

この場合、購入した金額よりも1000万円高い価格で売却できたので、 ローン残債はゼロ、さらに1000万円の利益が出ているので、 それを保有金融資産に上乗せしたとします。(実際には税金や売買手数料諸々がかかってくるので1000万円まるまる乗せることはできないんですが、 ここでは計算を単純化します。)

つまりこの世帯の純金融資産保有額は4000万円となり、アッパーマス層として位置づけられます。

4、金融資産3000万円、3000万円で購入した持ち家を売却して損した

金融資産が3000万円あり、3000万円の持ち家をフルローンで購入、その後すぐに、持ち家を2000万円で売却したとします。

この場合は、売却金額が購入時より低い価格なのでローンをまかないきれませんよね。まだローン残債が1000万円残っているとします。

金融資産が3000万円あっても、この世帯は負債が1000万円あるので、準金融資産保有額は2000万円となります。よって、この世帯はマス層として位置付けられます。

なぜ持ち家を資産としてカウントしないのか

ここまで見てきて、「じゃあ、金融資産が数千万円あっても1億円の持ち家があればマス層なのか?」と思った方もいるかもしれません。その通り、例え1億円の豪邸があってもローンが1億円あればその人はマス層です。

とはいえ、1億円の豪邸があるのにマス層というのもなんだか変な話ですよね。

では、なぜ持ち家を資産としてカウントしないのでしょうか?この点について私なりに考察してみたのでご紹介します。

1:すぐに動かせるお金を調査したい

なぜ野村総合研究所は、 不動産を考慮せず、純金融資産保有額のみを調べているのでしょうか。

これは私の推測ですか、おそらくすぐに動かせるお金を調査したいという狙いがあるのかなと思います。言い換えると、マーケットに流れ込む可能性のあるお金、です。

というのも、 この調査はそもそも企業向けに作られたものです。様々な企業が自社の今後のビジネスプランを考える際に、世間の動向をわかりやすく知るために使われるものなんですね。

たとえば金融資産の保有額とその規模が分かれば、 そこに向けたマーケティング戦略などを練ることができますよね。 1億円持っている人が多いとなれば、 ある程度高額な商品であっても売れるだろうなという見込みが立ちます。

若い人が多いのか、年配の方が多いのかでも、売り込みの戦術が変わってきます。

そういう視点で考えると、不動産というのは売却するのに非常に時間がかかり、下手すると現金化するのに1年くらいかかります。持ってはいるけど使えない資産とも言えます。

世の中の流れは1年単位で急激に変わっていきますし、不動産を含めた指標を知ったところで企業の戦略として生かすことができない。だからこのような指標になっているんじゃないかなと思います。

2:調査を単純化するため

また、持ち家を評価しづらいという点もあると思います。

不動産は、物件ごとにその価値が全く違います。地価が高くても、構造や経年劣化具合を考慮すると建て替えても損する場合もあったりします。一概に言えないし、一般化しようとするとブレが出てきてしまうと思います。

その人が保有している不動産まで調査の対象に含めてしまうと、 あまりにも手間と時間がかかりすぎるという事情があるのではないでしょうか。限られた時間と人員の中で、一人一人が保有している不動産を調べるのは現実的ではない、というのが本音なのかなと。

だから調査をできるだけ単純化するためにも純金融資産保有額という指標に絞ったのではないかと考えられます。

まとめ

ということで今回はアッパーマス層と持ち家の関係について解説してみました。最近、アッパーマス層やマス層、準富裕層など耳にする機会も多いかと思いますが、これがどんな指標なのか曖昧な方も多いのかなと思います。

私自身、最初の頃はこの言葉の意味や概念を正しく理解していなかったので、 皆さんもこの記事をきっかけにしてもらえたらなと思っています。

では今回の内容をまとめます。

  • 富裕層の階層は野村総合研究所の独自の指標である
  • 対象は金融資産から負債を差し引いた純金融資産保有額
  • 世帯でカウントする
  • 持ち家など不動産については含めない

ということです。

この基準というのはあくまでも1つの指標なので、参考程度にとどめておいて、自分たちは自分たちなりの目標に向かって進んでいけばいいのかなと思います。

最後に、こちらの記事をご覧の方が興味のありそうな書籍をご紹介しますね。「となりの億万長者」は、アメリカの富裕層の実態を調査しその実態をまとめた本です。保有資産、年収、職業、消費に関する価値観や行動など、彼らの暮らしぶりをデータをもとに明らかにしました。2013年出版の古い本ですが、多くの人のバイブルとしていまでも支持されるロングセラーです。

この本を読めば億万長者とは、お金持ちのイメージである豪華な家や車を持ち、きらびやかな服装で派手なお金遣いをする人とは反対の、質素倹約で見栄を張らない普通の人であることがわかります。

NRIの調査では、日本の億万長者は132世帯。日本の世帯数は5690万世帯なので、その割合は2%程度。50人のクラスに1人は億万長者がいる計算になります。アッパーマス層まで含めれば日本の世帯全体の2割です。5人に1人は資産3000万円以上をもっていることになります。こう考えると意外と身近ですよね。書籍のタイトルにある通り、億万長者はあなたのすぐ隣にいるのかもしれません。

図書館でも借りられると思いますが、リンクを貼っておくのでもしよければ詳細を見てみてください。

それでは今回も最後までご覧頂きありがとうございました。この記事がどなたかのお役に立てばうれしいです。