【超低金利時代】住宅ローンの繰上げ返済をおすすめしない理由

家を購入した人は、ほぼすべての人が住宅ローンを組んでいると思います。2020年現在、銀行各社の住宅ローン金利は過去最低水準で推移しています。これを活用しない手はない、と思った人は多いはずです。

では、これから約数十年間、住宅ローンを返済する中で、もし貯金に余裕ができたら繰上げ返済はするべきでしょうか?

この点については、意見が分かれると思います。私たち夫婦は、このまま低金利が続くうちは、繰上げ返済は行わない予定です。その理由をご紹介します。

繰上げ返済をしない理由とは?

さっそく結論から入ると、繰上げ返済をおすすめできない理由はあまり意味がないからです。これはシミュレーションをしてみるとすぐにわかります。計算してみましょう。住信SBIネット銀行の返済額試算を用います。

例えば、2000万円の借り入れがあったとします。

  • ボーナス時増額返済はなし
  • 金利 0.5% (2020年の変動金利相場より)
  • 期間 30年
  • 月額返済 59,837円

この条件の場合、総返済額は21,548,861円となります。

お金を借りることによって、155万円ほど返済額が増えるわけです。

次に繰上げ返済をシミュレーションします。

5年1ヶ月目に、300万円繰上げ返済した場合、短期短縮型で総返済額は21,189,834 円となり、359,027 円の費用が浮きます。

300万円を繰上げ返済することで、約36万円減額できる。果たしてこれは良い選択でしょうか?

手元のキャッシュの重要性

「少しでも返済額が軽くなるのなら、繰上げ返済をするべきでは?」という声が聞こえてきそうです。私も以前はそのように思っていました。

しかし、上記シミュレーションだと、約36万円のために手元のキャッシュを300万円失うことになります。

これは、あまり良い選択とは言えません。なぜなら、手元にキャッシュを置いておくことは非常に価値があるからです。

気にしておくべきことは、当面の間の生活資金です。世帯の働き手が病気や怪我で働けなくなったとき、半年〜1年間は生活できるだけの貯金を持っておかないとすぐに生活に困窮します。

これは「生活防衛資金」という呼ばれ方をしますが、会社員であっても、フリーランスであっても同様です。

生活防衛資金は実際に困った時に役立つだけでなく、日頃の生活においても精神的にも余裕を生みます。

繰上げ返済をする代わりに、何かあったときのための緊急費用と精神的な安定感を失うのは、割りに合わないと思いませんか?

繰上げ返済するべき場合とは?

繰上げ返済をした方が良い場合というのは、以下の2つです。

  • 余剰資金がある場合
  • 金利が上昇した場合

1つ目は余剰資金がある場合。生活防衛資金を確保した上で、車の買い替えや養育費、教育費などの出費予定がなく、それでも資金に余剰がある場合です。

2つ目は、金利が上昇した場合。現在は、変動金利の超低金利の恩恵を受けていますが、金利が上昇したら話は変わります。

例として、先ほどシミュレーションした2000万円の借り入れで考えてみます。

  • ボーナス時増額返済はなし
  • 金利 3% (金利上昇を想定)
  • 期間 30年
  • 月額返済 84,320円

この条件の場合、総返済額は30,399,775円となります。金利0.4%で計算した時は、155万円増加しただけでしたが、金利3%になると、返済額は1000万円増加します。

先ほどと同じ条件で、5年1ヶ月目に300万円を繰上げ返済をしたとすると、総返済額は27,591,958 円。2,807,817 円を減額できます。

約300万円を繰上げ返済し、約280万円を減額できるのであれば、繰上げ返済する意味があるとわかりますよね。ちなみに、3年1ヶ月目に300万円を繰上げ返済したとすると、総返済額は約310万円を減らせます。

よって、金利が高ければ高いほど、繰上げ返済するべき、となります。

低金利の恩恵を受けられるのは今だけ

現在の低金利は、歴史的にみてもなかなか訪れるようなものではありません。これは国策のマイナス金利政策によるもので、いつまで続くかは誰にもわかりません。世界の情勢を鑑みて国が方針を転換すれば、今の超低金利の恩恵は受けられなくなります。

だからこそ、今急いで繰上げ返済することは避けたいところです。金利の状況を注視して臨機応変に考えていきましょう。今回の内容が誰かの役に立てば幸いです。